2012年3月28日水曜日

No.201 〜


参考にどうぞ、私もいじめの被害者です。絶対にいじめは許さない心境です。

 

  「いじめは卑怯な「暴力」絶対に許すな」

 

白土 今回から「いじめ」の問題を取り上げさせていただきたいと思います。

 そこで、前の女子中等部長の松村さんにも来てもらいました。

 

松村 よろしくお願いします。中等部長を担当させていただき、いじめの相談をたくさん受けました。乗り越えた人もいますが、悩み続けている人もいます。

 このテーマで語ってくださることが本当にうれしいです。池田先生に心から感謝いたします。

 

池田会長 こちらこそ、皆さんの努力に感謝します。

 この連載が始まってからも、世間では、いじめを苦にした中学生の自殺もあった。ひとりでも、そんな子がいるということは、大変な問題です社会全体の大悲劇です。十代による残酷な事件も続いているが、背景にいじめがある場合が、しばしばだという。

 しかし、日本人の感覚がマヒして、いじめと聞いても、なんとなく、またかという感じになっている。そんな危険を感じる。

 恐ろしいことです。心の堕落です。心の闇です。こどもの悲鳴が聞こえなくなっている。

 「いじめは昔もあった」とか「こんな時代だから、少しくらい、しかたがない」などという声もある。とんでもない。

 だれが何と言おうと、いじめは絶対に「悪」せす。現に、こんなにも苦しんでいる人がいるのだから!

 「どんないじめも、断じて許さない!」という強い強い意志が、大人になければいけない。中学生にもなければいけない。それが、すべての大前提です。

 

白土 本当に、そう思います。担当者も、その決意で頑張ります。

 今回、悩みを寄せてくれたのは、中学二年生の男子です。

 「今、ぼくはクラスで孤立しています。クラスでリーダー的な人が、ぼくを『無視』したことから始まりました。その人に、他の人も合わせているんです。

 何かあって無視されたんなら、まだ、わかるんですが、そうじゃないので、話そうと思っても、また無視されるんじゃないか、答えてもらえないんじゃないかと思って、接するのがこわくなるんです。

 自分にも何か原因があるのかもしれませんが・・・・。

 まわりの人が笑ったりしていると、ぼくのことを笑っているんだと思ったりして、すごく不安になります。きっと、無視している人たちは、そういうぼくの姿を見て、楽しんでいるのでしょう。それが悔しいです。まだ授業中はましなのですが、休み時間や昼食の時間がきついです。すごく長く感じます。ぼくは、どうすればいいのでしょうか」

 

松村 「無視」――「シカトする」と言うんですが、とても多いいじめです。

 あるひ、突然、だれも話しかけてくれなくなる。近づいたとたんに、さっと逃げる。理由を聞こうにも、全然口をきいてくれない。

 これは、つらいです。

 

池田会長 残酷だ。やっている側は、軽い気持ちでやっているのかもしれない。ゲームのような感覚で、やっているのかもしれない。

 しかし、やられている側は、大変なショックです。地獄の苦しみです。

 その苦しさが、わからない。目の前のクラスメートが苦しんでいる心が、わからない。恐ろしいことだ。


安全なベビーベッド

 わかってやっているとしたら、もっと恐ろしい。

 人をいじめる人間は、そのとき、自分の心が死んでいるんです。

 心が人間じゃなくなっている。畜生になっている。野獣になっている。

 ある青年がいっていた。

 「きょう食べた食事のことよりも、中学時代に受けた、いじめの記憶のほうが鮮明なんです」。楽しいはずの中学時代が、何と、かわいそうなことか!

 「いじめ」という文字を見ただけで、ぞっとして、吐き気がしてくるというひともいる。

 無視だって、それは、人の心を傷つける「暴力」です。人の心に「クギ」を打ちつけているようなものだ。

 たとえ、クギを抜いても、クギの穴は残る。ずっと残る。とんでもないことだ。

 質問してくれた彼も、どんなにつらかったか。よく耐えてきた。えらいよ!

 そして今、こうして「相談する勇気」があった。これが、なかなかできないんです。

 相談することは、全然、恥ずかしいことじゃないんです。このことを、特に強調しておきたい。

 ひとりで悩まなくてもいいんです。

 なぜか。いじめられている君は、全然、どこも悪くないからです。

 質問に「自分にも何か原因があるのかもしれませんが」とあったが、そんなことを考える必要はありません。君は、どこも悪くない。

 いじめている側が、百パーセント悪い。千パーセント悪い。

 「いじめられている」側に問題があるのではない。「いじめる」側が、自分の中の「もやもや」とかをぶつけているだけです。原因は、いじめている側の「心の中」にあるんです。

 

松村 たしかに、今のいじめは、突然、理由もなく、やってくるんです。たとえば、クラスで力のある子が「あの子、むかつかない?」と言えば、みんなも「うん、むかつく」と。そして「シカトしようか」となるんです。

 

白土 次は、夏休みの中等部の研修に来ていて、自分から私に声をかけてくれたんです。話を聞いて、びっくりしました。

 明るくて、はきはきした子で、いじめに悩んでいるようには見えなかったからです。

 彼自身は「ぼくは、堅くて、柔軟性がないから、人の意見を聞けなかった面があるからかもしれません」といっていましたが・・・・。

 

池田会長 そうじゃないんだよ!

 もし、かりに、そういう面が自分にあったとしても、どうしてそれが「いじめられてもしかたがない」ことになりますか。

 だれだって、完全な人間なんかいない。欠点だらけです。だからといって、その人をいじめていいことになりますか。

 そんなことを言ってたら、いじめる側のほうがよっぽど不完全で、卑怯ではないか。人間として最低でしょう。

 「みんながやっているから」「だれかが言ってたから」「いっしょに、いじめないと、今度は自分がやられるから」

 もしか、そんな理由で、簡単に人をいじめるのを「柔軟性」と言うのならば、そんな「柔軟性」なんか、ないほうがいい!

 そんなのは柔軟性ではなく「付和雷同」という。日本人の一番悪いところです。


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 だから、いじめられている人は、決して、自分を恥ずかしいと思ってはいけない。自分を、みじめに思ってはいけない。

 「恥ずかしがらないといけない」のは、いじめている側です。そちらのほうが、本当は「みじめな人間」なんです。

 だから胸を張りなさい。目を伏せてはいけない。そんな、くだらない人間の仕打ちに負けてはいけない。負けたら、自分が損だよ!

 

松村 今、思ったんですが、たしかに「いじめ」について話していると、「いじめられる側にも問題がある」という考えの人が、けっこう多いんです。

 時には、学校の先生方にも、そういう考えの人がいるようで、びっくりしました。

 この考え方が"いじめが、なかなかなくならない"大きな原因ではないでしょうか?

 

池田会長 「いじめられる側の問題」というのは、たとえば?

 

松村 よく聞くのが、「暗いから」とか「なまいきだから」とかです。

 

白土 体つきのことや、「目つきが悪い」とか、「勉強ができる」というのも理由にあげられます。

 

池田会長 しかし、反対に、勉強ができないことが、いじめの原因とされることもあるでしょう?

 

白土 そうなんです。

 

池田会長 勉強ができても、できなくても、いじめられる。

 太っていても、やせていても、いじめられる。

 「暗いから」といって、いじめられ、反対に「目立つから」といって、いじめられ、じゃあ、どうしたらいいのか。

 

 松村 どうしようもありません。

 

池田会長 だから、いじめられる側の責任じゃないんです。

 百パーセント、いじめる人間が悪い。

 第一、「暗い」とか何とか、どんな表情をしていようと、個人の自由じゃないですか!何も、そんなこと、人からとやかく言われる義務はない。何も悪くない。

 

白土 その通りだと思います。

 ただ、その子が「うそをついた」とか「約束を破った」とかが、いじめの原因になる場合もあるようなんですが・・・・。

 

池田会長 それが事実だとして、「だから、いじめていいんだ」ということになりますか?

 たとえ、相手が悪くても、いじめてはいけないんです。

 相手がうそをついたら、ナイフで傷つけていいのか。

 そんなことはない。

 相手の性格が悪かったら、殴っていいのか。

 そんなことは、絶対にない。

 それと同じです。


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 「いじめは」は暴力です。どんな理由も、理由にならない。

 「いじめられる側にも原因がある」というのは、いじめる人にとって、つごうがいいから、そう言うのです。

 また、いじめを「見て見ぬふり」をしている人が、自分の勇気のなさをごまかす「言いわけ」です。

 私は、そう思う。

 

松村 本当に、そうです。もしも、何かの理由があって「気にいらない」なら、それを友情をこめて伝えて、なおすように努力してもらえばいいんですから。

 だけど、そんなことはしないんです。「いじめの材料」に使っているだけです。

 

白土 父親に相談したら、「いじめられるなんて、お前に『いくじがない』からだ」とか言われて、いじめられている自分のほうが悪いように責められた人もいるようです。

 いじめられるのは「弱い」からだ、強くなればいいんだ、という声はよく聞きます。

 

池田会長 それも、まちがいです。

 いじめを増やしている原因です。

 それじゃあ、いじめている人間が「強い人間」なのか。そうじゃないでしょう。

 人を苦しめる人間の、どこが強いんですか。

 人間として、一番弱い、一番醜い心ではないですか。

 自分で自分の醜い心に負けている「弱い人間」ではないですか。

 そういう暴力人間を「強い」ように勘違いしているところに、「いじめ」の根源がある。日本社会の狂いがある。

 昔も日本は、お隣の韓半島(朝鮮半島)や中国を侵略しておいて、「日本が強く、相手が弱い国だったからだ」と、まるで相手が悪いようなことを言っていた。

 その狂った論理が、今も抜けきっていない。社会全体が、今なお「人間としての正義」ということがわかっていない。ここに問題があるんです。

 

白土 よくわかりました。

 

松村 いじめで自殺した子にたいして、「死ぬのは、本人が弱いからだ」と言った人がいました。私は、死んだ子が、かわいそうで、涙が出てきました。

 死ぬところまで追い詰められて、どんなに苦しかったことか・・・・。それなのに、死んだ後まで、なんで、そんなことを言われなければならないのか!

 だから、池田先生が「いじめたほうが千パーセント悪い」と、はっきり言ってくださって、本当にうれしいです。

 

池田会長 そうだよ!だから、いじめられている人は、「自分が悪いんだ」などと思ってはいけない。自信をなくしてはいけない。

 「どうせ自分のせいなんだ」などと、あきらめてはいけない。

 反対に、「自分は、正しいんだ」「いい人間なんだ」「自分には、すごい使命があるんだ」と言い聞かせなさい。本当に、そうなのだから!

 心の中で、「君たちが何をしようと、自分は負けない!まちがっているのは、君たちだ!人の悲しみがわからない君たちのほうが『悪』なんだ!」と叫びなさい。

 そして「自分は、一生、人をいじめるような人間にはならない」と決意することだ。


 

白土 本当は、いじめる相手に対して、「やめろ!」と言えれば、一番いいんでしょうが・・・・。そうすると、「反抗」したために、よけい、いじめられるようになる場合もあるんです。

 

池田会長 それは状況しだいだし、いじめがひどくならないよう、賢く対処しなければならない。

 「いじめは狂犬にかまれたようなものだ」と言った人がいる。正しい反論が通用するような状況でないことが多いでしょう。

 だからこそ、「いじめ」という狂ったことをするのだから。

 しかも、今のいじめは、大人が想像できないほど陰湿で、暴力的になっているといわれる。まともに相手をして、けがをしてもしかたがない。

 具体的にどうすべきか、これから一緒に考えていきたいと思うが、ともかく、どんな状況にあろうと、まず「心では負けない」ことだ。「あきらめない」ことだ。

 「絶対に、乗り越えてみせる!」と、まず決めることだ。

 そう決めれば、状況によって、いろんなやり方があるはずです。

 もちろん、状況は千差万別だから、「こうすれば絶対、解決する」という「マニュアル(手引)」はないとも言える。

 ただ、どんな場合にも言えることは、「ひとりで悩まないほうがいい」ということです。

 親にでもいい。信頼できる先生にでもいい。未来部の担当者にでもいい。

 誰にでもいいから、「いじめ」の事実を伝えることだ。

 相手に、陰湿に逆襲されないような工夫はあるはずです。

 大人に伝えるのは「告げ口」ではない。

 それは、君たちの「武器」であるし、これから、ほかの子が同じような犠牲者にならないためでもあるんです。

 「いじめている」側は、それを多くの人に知られることが一番いやなんです。

 「親に心配かけたくない」という人もいるだろうが、相談してくれたほうが、親は、よっぽど、うれしいんです。

 「あんまり、大さわぎしないでほしい」と思う人は、きちんと、それを言ったうえで、やはり、知っていてもらったほうがいいと思う。

 人に助けを求めることは、恥ずかしいことではない。だれでも、それが必要なときがあるんです。

 また、相談を受けた人は、ともかく、まず、じっくり話を聞いてあげてほしい。途中で話を、さえぎらないで。

 黙って、とことん聞いてあげることが、まず一番必要なことです。 

 ともかく、いじめを「我慢しなければならない」理由なんかありません。人権侵害には、反撃する事が、正しいんです。

 「いじめる」人間は、最後は堕落し、きらわれ、敗北していく。かわいそうな人間です。なおしてあげなければいけない人間です。

 むしろ、「いじめられた」人間のほうが、最後は勝つ。

 また、勝たなければならない。

 そのために、何ができるのか、それを、これから一緒に考えていこう。

 

                  〜9月20日付け 『聖教新聞』 より〜



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